■ペレス会長の「2つの危惧」

 しかしながら、ペレス会長はスーパーリーグの発足を諦めていない。 

 スーパーリーグをめぐっては、各界から批判が噴出した。選手、監督、ジャーナリスト、さらには政治家や王家の人間を巻き込んで、非難の声は高まっていた。

 それでも、ペレス会長がスーパーリーグの発足に拘(こだわ)るのは、なぜだろうか。そこに焦点を当てなければ、問題の本質は見えてこない。ペレス会長を、マドリーを”悪者”に仕立てあげるだけではダメなのだ。

 ペレス会長は「若年層のサッカー離れ」と「コロナ禍での財政圧迫」を危惧している。

 まずは「若年層のサッカー離れ」である。14歳から24歳のサッカーファンが、どんどん離れているというのが、ペレス会長の主張だ。そのデータもあると彼は語っている。この世代は、世界的に見てデジタルネイティブの世代だ。つまり、スマートフォン(スマホ)を使いながらコンテンツに触れることに慣れている。

 その時、サッカーの敵は、サッカー以外の領域に広がる。「リーガエスパニョーラを見るか」「プレミアリーグを見るか」という選択肢は、もはや存在しない。サッカーの敵はNetflixであり、Amazon Primeなのだ。比喩的に言えば、そういうことになる。ゆえに、若年層を捕まえるために、ビッグマッチを多く計画する。それがペレス会長の算段であった。

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