■DFとしてキッチリと活躍して見せた
この日もそうだった。
試合開始から間もなくして神戸ベンチから大きな声で指示が飛んだ。
「流帆!ポジションとれ!真ん中!」
大橋祐紀がどんどん中央に向かってプレーしようとしてくることに対し、誰がどこでどう対応するのか、という問題は神戸が早急に解決しなければならないところだった。
ところが、大声での指示はそれだけで済んだ。すぐに、ディフェダーを背負ったままシュートまで持ち込もうとする大橋とそうはさせまいとする菊池の攻防が始まり、それは試合を通して繰り返されることになった。
10分という早い時間にイエローカードを受けた菊池だったが、ますます強気に仕掛けてくる大橋に対してしっかりと身体を寄せ、引かずに戦い続けた。
どこまでならばファールを取られないかということと、どこまで自分がやらなければならないか、ということの際どいバランスの中で残りの80分を過ごす難しいミッションを見事に遂行し、湘南を完封。そこに慌ただしさや粗さはなく、ディフェンスリーダーとして当たり前のように責務を果たしきった。