■将来の“なでしこジャパン”の方向性

 なでしこジャパンの高倉麻子監督は、こうした日本国内の女子サッカーの最近のトレンドをうまくすくい取って、代表としてまとめようとしているのだ。

 東京オリンピックが終わると、女子代表チームは2023年の女子ワールドカップに向けて始動するのだが、それ以降はこうしたスピードやフィジカルを重視したサッカーに向けて大きくシフトしていくのではないか。もちろん、そのうえで日本の武器であるパス・サッカーの精度もさらに上げていかなければ、再び世界の頂点に立つことは難しいのだろうが。

 今回の国際親善試合は実力差の大きいパラグアイやパナマとの対戦ではあったが、そうしたなでしこジャパンの新しい方向性を見ることはできた。

 ただ、これが世界の強豪国相手にどこまで通用するものなのかはまったくの未知数だ。オリンピック開幕前には3回の強化試合が予定されているので、そこで強豪国との対戦がうまく組めるといいのだが……。今回は近隣国である韓国と中国は、ちょうど東京オリンピック出場権の最後の切符を争うプレーオフの真っ最中だったために対戦できなかったが(4月13日に第2戦)、今後は中韓両国との対戦も可能になるだろう。

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