■4-4-2にした意図

 そして、この4-4-2にした意図は、簡単に崩される。試合開始からわずか8分で失点。さらに17分にも追加点を奪われる。守備の狙いがハマらなかったばかりか、攻撃も停滞。東京は思うようにボールをつなげず、いつもの迫力ある推進を見せることができなかった。結局、この試合で青赤のユニフォームが放ったシュートは3本だった。

「奪ったあとにボールを動かせるかどうか、選手たちにアプローチをしてやらせた。もくろみと違ったのは若干初めから大事にいき過ぎて、もう少し立ち上がりはシンプルに相手を裏返すボールを使っても良かったのかなと思います」

 こう振り返った長谷川監督は、後半アタマからアダイウトンを投入する。この快速ストライカーが入ったのは左ウイング。前半に2失点を奪われたサイドだ。家長昭博が奪った得点は2つとも日本代表DF小川諒也の背後を取ったもの。そのサイドで、試合をひっくり返そうとした。4-4-2を用いた意図とは真逆の強気の采配だった。

 そして、そのアダイウトンが59分に1点を返す。その瞬間、味スタのボルテージが一気に上がって“試合をひっくり返す雰囲気”を漂わせたが、2分後にさらに失点を重ねて試合は決まった。スターティングメンバーを決める時点から“強気の采配”を見せていれば、と思わせる場面でもあった。

 ただし、川崎の王者たるゆえんは、強気の采配に対して奪ってみせた「3点目」にこそあった。

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