■田中碧は周囲に余裕をもたらす

 この試合のMVPを選ぶなら、ダブルボランチの一角としてプレーし2得点をあげた板倉になるだろう。45分に先制点をゲットした林大地、2アシスト以外にも好機を演出した久保、2列目の左サイドで鋭い突破を披露した相馬勇紀らも好評価だ。

 それから、田中碧である。川崎フロンターレ所属の22歳は、ボールの中継点となってパスワークをスムーズにしながら、チームメイトを生かしていった。プレッシャーを受けたら無理をせずにボールをさばき、来なければ自分で前へ持ち出したり、攻撃のスイッチを入れたりする。彼がボールにかかわることで、パスの受け手や周囲の選手が空間や時間の余裕を得ることができていた。

 25分には決定機を生み出す。センターサークル内でパスを受けた田中は、1トップの林に浮き球のパスを通した。林が適切にボールを処理できていたら、この時間帯に先制点が生まれていたかもしれない。

 第1戦に出場していない田中は、アルゼンチンにとってデータの少ない選手だった。それに対して田中(を含めた日本)は、第1戦を受けてアルゼンチンのプレーを分析することができていた。

 一方で彼は、アルゼンチン独特の間合いやプレッシャーを第1戦で体験していない。プラスの要素とマイナスの要素を並べると、活躍できる条件があらかじめ揃っていたわけではないはずだ。それだけに、背番号17を着けた彼のプレーはチームの希望となっていた。東京五輪のメンバー入りに、前進したと言える。

  1. 1
  2. 2
  3. 3