■試合最終盤に両チーム合計7人の交代策

 すると、残り時間が数分となったところで、千葉のベンチ前で交代の準備が始まった。呼ばれた選手は2人、3人と増えてなんと5人がベンチ前で準備を整えた。「5枚替え」だ!

 すると、琉球ベンチもすぐに交代の準備に入る。

 プレーが切れず、交代のタイミングはなかなか来なかったが、時計の針が88分を半分ほど回ったところで千葉のCKとなり、交代の手続きが始まった(交代に時間がかかったので、記録上では「90分の交代」となっている)。第4審判が手際よく交代のボードで次々と交代選手を示し、千葉の選手たちがピッチに入っていく。そして、それに続いて琉球も2人の交代(4人目と5人目)を済ませた。

 ユン・ジョンファン監督の意図は2つあったのだろう。ひとつは、守備を立て直し。失点した75分から80分にかけて、3度も同じ形で崩されたのだから、千葉の守備は完全に浮足立っていた。だが、千葉は終盤まで交代のカードを切れないでいた。

 スコアが動き出す前は両チームがまったくの互角で組み合っている状態で、下手な交代を使ったらバランスが崩れてしまうおそれがあったので、なかなか交代カードを切れなかったのであろう。そして、ゲームが動き始めてからは、あまりにも短時間の間に得点と失点があったために、またも交代のタイミングを逸してしまったというわけだ。

 その交代を、ユン・ジョンファン監督はこのタイミングで行おうというわけだ。

 そして、最も重要なのは、残り時間が少なくなった中で1点を取って追い付くことだ。その手段がパワープレーだった。

 千葉はUー20日本代表櫻川ソロモンを投入。185センチのブワニカ啓太と190センチの櫻川ソロモンの、アフリカの血が入った2人のFWをツートップに並べ、そのすぐ後ろに先制ゴールを奪った見木を置いて、パワープレーを敢行した。

 試合はすぐにアディショナルタイムに入った。表示は「5分」だったが、両チーム合わせて7人の交代で時間を使ったことと、さらに負傷者が出たことなどで、結局アディショナルタイムは5分49秒、つまり6分近くにもなった。

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