J2に昇格して3年目を迎えた南国のチームがいい感じだ。FC琉球は開幕から5連勝中で、アルビレックス新潟と首位争いを繰り広げている。かつて横浜F・マリノスをJ1準優勝に導いたこともある樋口靖洋監督のサッカーは、これまでとは明らかに違っている。好調の理由をJEF千葉戦に探った――。
■先制された琉球のわずか数分の逆転劇
72分、前線で千葉の見木が相手DFからボールを奪い取り、いったん右サイドの福満隆貴にボールを預けてからペナルティーエリアに進入して、リターンを受けて先制ゴールを決めたのだ。
ところが、そのわずか3分後、琉球は阿部拓馬の強烈なヘディングで同点に追い付いた。
CBの岡崎亮平がハーフウェーラインを越えたあたりから右のタッチライン沿いで待つSBの田中恵太にパスを送り、田中がニアサイドの阿部に低くて強いクロスを送ったのだ。そして、阿部もしっかりとしたヘディングで右隅に確実に決めた。リードされてもまったく慌てることなく、自分たちの狙い通りの攻撃パターンから同点とするあたりが、好調のチームらしいところだ。
琉球の攻撃は終わらなかった。79分、再び岡崎から右の田中にパスが渡り、これは千葉の守備陣になんとか防がれたものの、80分、またも岡崎から右の田中へのパスが通り、今度はファーポスト付近を目掛けた正確なクロスが入り、そこに左サイドから清水慎太郎が走り込んでまたもヘディングでゴールを陥れた。
田中からのクロス……。それは、たしかに琉球の狙い通りの攻撃パターンだった。だが、それにしても、同じ岡崎から右の田中へというパターンのパスを3回連続して通させてしまったのは、どう考えても千葉守備陣のミスである。ようやく手にした先制ゴールに浮かれ、あるいは早々と同点ゴールを許したことで動揺する……。このあたりは、苦戦が続いているチームらしいところだ。
こうして、互角の試合で幸先よく先制しながら、あっさりと逆転を許してしまった千葉も強い気持ちを持って、攻勢を強めようとするものの、ゴールへの道は遠かった。