■同じ4-4-2のJEF千葉とFC琉球
J2リーグではアルビレックス新潟とFC琉球の両チームによるマッチレースが続いている。
3月27日に行われた第5節では、新潟が東京ヴェルディをなんと7対0というスコアで粉砕したが、これを追う2位の琉球もジェフユナイテッド市原・千葉との試合で、先制を許しながらも粘り強く逆転勝ちして、ともに5戦全勝で並んでいるのだ(得失点差では大差で新潟がリード)。
かつて10シーズン以上もJ1で戦っていた新潟はともかく、琉球の方は2019年に初めてJ2に昇格したものの、1年目は14位、そして2年目の昨シーズンは16位とともに下位に低迷していたチームだ。その琉球の5連勝は、J2序盤戦のちょっとしたサプライズであろう。
そこで、日本代表の試合が連続する中の週末ではあったが、フクアリで行われた千葉対琉球の試合を観戦に行ってきたのである。
琉球を率いるのはベテランの樋口靖洋監督だ。
古いサッカーファンにとっては、樋口靖洋と言えば四日市中央工業高校時代を思い出すであろう。樋口靖洋は四中工1年の時に兄の樋口士郎とともに1977年度の全国選手権に出場。決勝戦で当時の“絶対王者”帝京高校の前に屈したものの準優勝を果たして、当時は樋口兄弟はちょっとしたヒーローだった。何しろ、高校サッカーが日本のサッカーの中で最も観客動員力があったという時代である。そして、四中工は当時としてはモダンでスマートなサッカーをするチームだった。
樋口靖洋は、その後、日産自動車でプレーを続け、引退後はモンテディオ山形をはじめ、いくつものJクラブのトップチームで監督を務め、2013年には横浜F・マリノス監督としてチームをJ1準優勝に導き、天皇杯も獲得している。
ただ、その横浜FMでの準優勝を除けば、監督としての華々しい成績はなく、大変に失礼な言い方ではあるが、「手堅いが、地味なベテラン監督」といった印象が強い存在だった。
相手の良さを消したり、バランスを取るのはうまいが、つねにオーソドックスな戦い方をする……。そんな印象だったのだ。
さて、フクダ電子アリーナでの千葉戦でもキックオフ時の立ち位置を見ると、まさに普通の4-4-2だった。
「まあ、これが樋口さんのサッカーなんだろうな」と思って僕は見ていた(申し訳ない。FC琉球の快進撃は気になっていたものの、これまで琉球の試合の映像はチェックをしていなかった)。
そして、相手の千葉のユン・ジョンファン監督もフラットなラインをキープするオーソドックスな4-4-2。つまり、両チームとも同じようなシステム、似たような立ち位置で試合が始まったのだ。