■前半のヘタフェに欠けていたもの

 前半のヘタフェに欠けていたものがある。選手同士の距離感と連動性である。前線に長いボールを送ることが多いものの、ボールはアバウトなものが多く、意図の薄さを証明するように受ける選手も孤立していた。

 最終ラインは、型に溺れて中身がなかった。4バックは一直線のライン、コンパクトな左右の幅と統率されているかに見えたが、それがあだとなった。ワイドのポジションに流れる相手2トップの一角、あるいはサイドバックにサイドのスペースを活用される。左右に大きく振られて先制点を献上した14分以外にも、そうしたシーンは散見されていた。しかも、前半2つの失点シーンは、ゴール前にしっかりDFがラインをつくりながらも、「人」を捕まえることができなかったのだ。

 後半からの流れの変化に、久保が果たした役割は大きい。勢い余って警告も受けたが、下がってサイドのスペースもケアするなど、守備意識を見せていた。下がっても前へ足を運ぶことも忘れず、2トップを孤立させることはなかった。フリーランニングをすることで、仲間にスペースも与えていた。

 これだけの変化を見せた久保を、ホセ・ボルダラス監督は次の試合、どの位置でスタートさせるだろうか。ポジションが「ベンチ」では、またもヘタフェはちぐはぐな試合を繰り返しそうである。

■試合結果

バリャドリード 2―1 ヘタフェ

■得点

14分 オスカル・プラノ(バリャドリード)
24分 ション・ヴァイスマン(バリャドリード)
37分 マタ(ヘタフェ)

  1. 1
  2. 2
  3. 3