■両サイドに施した対策

 リバプールの右サイドは強烈だ。3トップの一角、モハメド・サラーのスピードのみならず、ライトバックのトレント・アレクサンダー=アーノルドの高精度のキックが相手ゴールと守備陣を脅かす。逆サイドでは、アンドリュー・ロバートソンが労をいとわず走り続ける。21分にはセンターサークル内からアレクサンダー=アーノルドが、ボックス内へ狙いすましたパス。シュートには至らなかったものの、ロバートソンが走り込んでいた。48分にも、アレクサンダー=アーノルドのクロスにロバートソンが走り込み、両サイドバックの脅威を見せつけていた。

 エバートンのフォーメーションは、3-5-2にも、4-1-4-1にも見える。サイドの守備の仕方のためだ。左サイドではレフトバックのルカ・ディニュ、左サイドハーフのアンドレ・ゴメスが、サラーとアレクサンダー=アーノルドをうまく受け渡しながら監視する。右サイドでは、コールマンがほぼマンツーマンでロバートソンに目を光らせる。そのため、布陣は変則気味になっていた。

 ただ守るのみならず、攻撃でも狙いがあることを示していた。アレクサンダー=アーノルドが攻めに出た裏のスペースに、A・ゴメス、さらに1トップのリシャルリソンが流れ入って活用を狙う。33分には、こうしたリバプールの強みの裏を突いた攻撃からディニュが鋭いクロス。ゴール前に走り込んでいたのはコールマンで、ピタリと合わせたヘディングを枠内に飛ばした。昨季王者を尊重しつつも、常にファイティングポーズを取り続けていたのである。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4