■PKが皮肉に示したキーマン

 開始3分で先制した後、ボール保持を許してはいたものの、こうした守備でエバートンは試合の掌握を許してはいなかった。後半に入りリバプールの反撃が強まった際には、サラーとアレクサンダー=アーノルドの脅威が増していた。やはり、生命線はサイドにあったのだ。

 反撃に対して、アンチェロッティはもちろん手を打った。イエローカードを頂戴していたA・ゴメスに替えて、左サイドにギルフィ・シグルズソンの運動量を投入。押される展開ながら勇気を持ってFWを1枚投入し、反撃の機会を逃すなというメッセージを選手に送った。

 そうした文脈の先に、終了間際のPK奪取があった。残り10分、どうしても1点を返したいリバプールは前がかりになり、ピッチ中央からアレクサンダー=アーノルドがゴール前に浮き球のパスを送る。人数をかけて守っていたエバートンだが、すかさずカウンターに移ると、パスを受けたリシャルリソンをもう1人のFWが追い越していく。猛然と走り込んだエリア内で倒れたのは、交代出場していたドミニク・キャルバート=ルーウィンだった。

 判定の是非は別として、審判はペナルティスポットを指さした。その背番号9と接触していたのは、カウンターを食らうきっかけとなるパスを出したアレクサンダー=アーノルド。懸命に守備に戻った姿勢は素晴らしいが、やはりこの試合のキーマンであったことを皮肉な形で証明してしまった。

「戦い方を用意してくれた監督に感謝する」。主将コールマンのコメントとその態度が、エバートン勝利の要因を明示していた。

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