J2021年のJリーグがいよいよ幕を開ける。本稿では新たなシーズンに挑むJ1各チームの注目選手を2名ずつピックアップ。チームとしてのポイントも紹介する。ニュースターの誕生を期待したい。
◎清水エスパルス
ピーター・クラモフスキー監督を招聘してのアタッキングフットボール化、という実験が失敗に終わってしまった2020年から一転、チームはミゲル・アンヘル・ロティーナ監督を連れてきた。
守備の整備に定評のあるロティーナ監督は、東京ヴェルディを昇格プレーオフまで躍進させ、セレッソ大阪も2019年に5位、2020年には4位と上位に安定させた。ヴェルディもセレッソも、もともとは攻撃的なサッカーを嗜好するクラブだったが、サポーターは結果を出すロティーナ監督を好んだ。
攻撃サッカーで結果が出ないよりも、しっかりと結果を残してくれる方が良い。それは現在の清水も同じだ。昨シーズンの順位は16位。失点数の70はリーグワースト。まさにうってつけの新監督だった。リーグ6位の攻撃力を活かしつつ、守備をしっかりしたものにすれば、一気に上位争いも狙える。
守備の印象ばかりが先行しがちなロティーナ監督だが、畠中慎之介(現横浜F・マリノス)や瀬古歩夢を日本代表クラスのディフェンダーに仕立てた以外にも、藤本寛也(現ポルトガル1部、ジル・ヴィセンテ)を抜擢したり渡辺皓太(現横浜F・マリノス)を育て上げたりと、攻撃的な若手選手の成長も著しい。
守備の整備はポジショニングの正確さ、そしてプレーや判断の確実さによってもたらされるものであり、それは攻撃面でも大切な力になる。決して守備一辺倒ではないし、つまらないサッカーでもない。
良い守備が良い攻撃を生む、ということだけではなく「サッカーで一番良いディフェンスはボールを持つこと」(昨年8月5日、浦和戦後)と語るロティーナ監督は、清水にとってこれ以上ない人選となった。