途中出場のフランシスコ・トリンコンが1人で強引に突き進むプレーを見せ、チームに覇気を取り戻そうとしたが、85分、キリアン・ムバッペがハットトリックとなるゴールを決めて1-4、ホームで屈辱的な敗北となった。
ロナウジーニョやアンドレス・イニエスタが、レアル・マドリードとのエル・クラシコでサンチャゴ・ベルナベウのレアルファンからスタンディングオベーションを受けたことがあるが、観客が入っていればそれと同じことがムバッペに行われただろう。チームの象徴であるメッシの姿は、観客に敗退を悟らせるのに十分なものだった。
ムバッペの3ゴールは、全て流れの中から決めたものだった。メッシとクリスティアーノ・ロナウドだけではなく、同じチームでこの日欠場したネイマールさえも過去に追いやって、一気に新しい時代が始まったのではないか、そう思わせるのに十分なパフォーマンスだった。
メッシは試合の状況を完璧に把握する能力に長けた選手だ。ペップ・グアルディオラ監督が、試合中にメッシが歩いている様子をそのように解説したエピソードは広く知られている。その視点からこの試合で見せた表情を考えると、あれはモチベーションの低下や諦めではなく、今の自分たちがこのパリに勝てないことがわかってしまった、というものなのだろう。だから悲しそうな表情だったのだ。
果たして、このままバルセロナは敗退してしまうのだろうか。
2ndレグで、トリンコンやペドリ、フレンキー・デ・ヨング、リキ・プッチらがバルセロナにも新しい時代がやってきたことを結果で示し、再び大逆転で勝ち抜けることができたならば、その時にメッシはどんな表情をするだろうか。
きっと、今日とは異なる悲しさが浮かんでいる表情になることだろう。
■試合結果
バルセロナ 1-4 パリ・サンジェルマン
■得点
27分 リオネル・メッシ(バルセロナ)
32分 キリアン・ムバッペ(パリ・サンジェルマン)
65分 キリアン・ムバッペ(パリ・サンジェルマン)
70分 モイゼ・ケーン(パリ・サンジェルマン)
85分 キリアン・ムバッペ(パリ・サンジェルマン)