一方で、落とし穴も見えていた。ライプツィヒの3バックと、リバプールの「世界最恐」3トップの勝負である。早くも来夏のバイエルン・ミュンヘン移籍が公になったダヨ・ウパメカノの中央や、ウィングバックのタイラー・アダムスが守備に比重を置く右サイドは、まだ良かった。問題は3バックの左に入ったルーカス・クロスターマンだった。
本職はサイドバックだけに、決して「のろま」なわけではないクロスターマンだが、韋駄天相手には分が悪かった。モハメド・サラーに執拗に食らいついていたが、一瞬の加速に置いていかれる場面が目についた。例えば、24分の場面。自陣まで下がったサラーを追いかけ、ボールも奪い切ったものの、奪い返したリバプールのカウンターで、サラー経由でチャンスをつくられてしまった。
案の定、先制点を奪ったのはサラーだった。53分、バックパスのミスを見越したように動き出していた背番号11は、クロスターマンを置き去りにしてGKとの1対1の場面で決め切った。
もちろんこの場面、責められるべきはバックパスのミスではある。そこにも質の差は見えていた。
やや自陣に入った位置でこぼれ球を拾ったのはマルセル・ザビツァーだった。前半から攻守にチームの勢いに乗れていなかった様子の背番号7は、ここで判断を誤った。常にベクトルを前に向けているチームの中で、左に反転して縦にパスを送るべきところ、後ろを向いてしまった。結果、カーティス・ジョーンズの背後からの寄せに驚いたか、乱れたバックパスで“アシスト”してしまった。
逆に、縦への意識を見せていたのが、リバプールMFチアゴ・アルカンタラだ。昨夏の高額移籍金に見合う活躍はまだない、とイングランドでは評されるが、慣れたドイツ勢とのリズムの中では違いを見せていた。36分には、相手DFの乱れたパスを1タッチで強く叩いて、オフサイドで取り消されたものの、ゴールネットが揺れる場面を演出していた。