ヨーロッパが強すぎる。2月11日に決勝が行われたFIFAクラブ・ワールドカップは、バイエルン・ミュンヘンが北中米カリブ代表のティグレス(メキシコ)を決勝で下して7大会ぶり2回目の優勝を果たした。ヨーロッパ勢による同大会優勝は8大会連続となる。世界一のクラブを決定するはずが、「最後はヨーロッパが勝つに決まっている」大会になっている。これでは、その存在意義に疑いを持たざるをえない。
■バイエルンが盤石の優勝
カタールで開催されたFIFAクラブ・ワールドカップは「バイエルン・ミュンヘンの優勝」というきわめて順当な結果に終わった。
準決勝でメキシコのティグレスUANLがブラジルのパルメイラスを破って決勝進出を果たしたのはちょっとしたサプライズであり、ティグレスは決勝でもバイエルン相手に善戦はした。相手のサイド攻撃に対してサイドバックとサイドハーフが連携して常に数的優位を作って守り、それでいてキニョネスなどのサイドハーフは外にしっかりと張って相手守備陣に脅威を与え続けることによって、ベンジャマン・パヴァールやアルフォンソ・デイビスの上がりを牽制するなど、チームとしての組織的な守備は見事だった。
その結果、バイエルンの攻撃の軸となるトーマス・ミュラーが新型コロナウイルスの感染で急遽欠場したこともあって、バイエルンはボールは握って攻撃を続けはしたものの、ティグレスの守備を前に攻めあぐねてしまった。それでも、最後はロベルト・レバンドフスキが高さを生かして落としたところをパヴァールが決めて、最少得点差ながらバイエルンが順当に勝利した。
ティグレスの攻撃は元フランス代表のアンドレ=ピエール・ジニャクに依存するところが大きかった。前線で大きく動いてパスを引き出し、自ら得点も決める総合的センターFWとしてジニャクはその才能を存分に発揮した。そして、バイエルン相手にも2列目の選手が前線への飛び出しなどでチャンスの芽は作っていたが、最後はバイエルンのGK、マヌエル・ノイアーによって“芽”はすべて摘み取られてしまった。
1対0というスコアではあったものの、ティグレスが勝利する可能性はかなり低かったと言わざるを得ない。やはり、この大会でのヨーロッパ勢の強さは圧倒的だ。