プロである以上、ピッチ上で第一に求められるのは結果だ。一方で、内容やスタイルといったプレーの魅力も大事な要素だ。そうした魅力を築き上げ、さらに将来への道筋ともなるチームづくりの「過程」もまた、重視されてしかるべきものである。
同じことがチーム編成にも言える。特にコロナ禍に見舞われているこのオフの補強では、質量ともにクラブごとに大きな違いが表れた。
もちろん、勝利にチームを近づけてくれるであろう有力選手を多く獲得できれば、ファンとしては期待が高まることだろう。逆に即戦力の獲得がなければ、不安が顔をのぞかせるかもしれない。だが、選手獲得という「結果」と同様に、そこに至るまでの過程もまた、重視されるべきだ。チーム編成までの流れから、クラブの計画性が浮かび上がるからだ。
その計画性をうかがえる要素の一つが、選手補強のタイミングだ。例えば、かつてのエレベータークラブから一転、着実にJ1での地歩を固めている印象がある北海道コンサドーレ札幌は、1月6日までに選手の補強を終えている。クラブの規模により大きな動きはできないという側面もあるかもしれないが、動き出しも早かった。
圧倒的な強さで昨季のJ1を制した川崎フロンターレは、1月4日までに小塚和希ら日本人選手の獲得を完了した。その後に守田英正のポルトガル移籍や、齋藤学の名古屋グランパス行きを発表しているが、その穴埋めをするような後追いの補強は施していない。コロナ禍においてどのクラブも例年より資金繰りが難しい状況において、計画性の重要性はさらに増す。