【ラ・リーガ アトレティコ・マドリードvsバレンシア 2021年1月24日(日本時間29:00キックオフ)】
コケが出場停止から、マリオ・エルモソが負傷からそれぞれ戻ってきてパスを出せる状況になったアトレティコは、ジョアン・フェリックスもスタメンに据えて攻撃モードだった。
コケが不在だった前節のエイバル戦ではサウール・ニゲスが3バックの手前でアンカーを務めたが、リンクとパス出しを1人でこなすことは非常に難しく、途中投入されたフェリックスがリンクマンとして奔走することになった。
この試合のフェリックスは、コケの存在のおかげでリンクマンの苦労から解放されたこと、そして12月30日以来のスタメン出場だったことで、やる気に満ち溢れていた。開始から、行けるところまで一人で行く、というドリブルで何度も仕掛け、23分にはコーナーキックに体を投げ出してゴールを奪った。誰がどう見ても気合十分。リーグ戦では11月7日のカディス戦以来、全体でも12月1日のバイエルン・ミュンヘン戦以来のゴールとなり、このままフェリックスが爆発してアトレティコを勝利に導く様子は容易に想像できた。
しかし、この日の背番号7はゴールを境に大人しくなった。
中盤でスペースを作るためにポジションを取り、守備に回り、ルーズボールのシュートはマルコス・ジョレンテに譲った。それは献身的というよりも、控え目、あるいは糸が切れたような、という言葉が似合う様子だった。覚醒の時を皆に待ち望まれ、何度もその予感を感じさせながらももう一歩が続かない現状を表しているようだったが、そんなフェリックスのスイッチを入れ直してくれる選手がいた。