■誕生日に勝ち越しゴールを決めたスアレス
前半終了間際、ペナルティエリア手前の絶好の位置でフリーキックを獲得したアトレティコは、6人がキッカーの位置に集まった。獲得したジョレンテだけでなく、トマ・レマルやルイス・スアレスら、キッカーを務めることができる選手が多くいるアトレティコだが、ここではその役目はフェリックスに任せられた。
譲ったスアレスはフェリックスと小さくグータッチを交わして、スポットを去った。これで相手には誰が蹴るかバレバレになってしまったが、フェリックスのスイッチは再びオンになった。
54分、左サイドでボールを受けたフェリックスはドリブルを仕掛け、相手を引きつけておいてスアレスにパス。この日が34歳の誕生日だったエースの勝ち越しゴールが決まった。両手を広げて待つスアレスに、フェリックスは満面の笑みで飛びついた。
今シーズン、アトレティコでは5試合でゴールを決めていたフェリックスだが、うち4試合はもう1ゴールかアシストを同時に記録している。この日も結果的にそうなり、これで6試合中5試合で複数のゴールに名を残したことになった。キレキレの日とイマイチな日の差が大きく、1試合の中でもまだ浮き沈みがあるが、アトレティコには課題を明確に伝えてくれる監督も、助けてくれる偉大な先輩もいる。
クリスティアーノ・ロナウドやリオネル・メッシ、ネイマールとは違い、規律のあるチームの中で役割をこなしながら違いも生み出す、という新時代のサッカーを象徴するスーパーな選手になる素質は十分、しかもアトレティコにはその環境が揃っている。
まだ21歳、まだまだ修行は続くが、その成長を楽しみにしているのはスアレスをはじめ他ならぬアトレティコの選手たち、そしてディエゴ・シメオネ監督だ。
■試合結果
アトレティコ・マドリード 3ー1 バレンシア
■得点
11分 ウロシュ・ラチッチ(バレンシア)
23分 ジョアン・フェリックス(アトレティコ・マドリード)
54分 ルイス・スアレス(アトレティコ・マドリード)
72分 アンヘル・コレア(アトレティコ・マドリード)