■冨安の現在地が表れた試合

 なんとか先制点のみで前半を終わらせたボローニャのシニシャ・ミハイロヴィッチ監督は、後半からノーマルな3バックのやり方に変え、冨安は右センターバックに移った。攻撃時には相手陣内に入ってプレーするようになったが、60分にはドリブルで攻め上がったところでベルナルデスキにボールを奪われてボローニャのピンチを招き、74分には1vs1の状態からロナウドに決定的なクロスを上げられ、と、攻守共になかなか上手くいかないまま時間が過ぎていった。

 2点を追いかける終盤には、流れの中で4バックの右サイドバックの状態になったり、5バックの右ウイングバックのように攻め上がったり、ボランチのようにビルドアップする相手に対して敵陣に出ていってプレスをかけたり、とスクランブル態勢で動き回ったが、試合を終わらせにくるユベントス相手にチーム全体で力負けしたまま敗れてしまった。

 当初の予定だったクルゼフスキ封じは、たった20分程度で終わってしまったが順調だった。サイドバックで評価を高め、センターバックでの起用にも合格し、イタリアでユベントスを相手にセンターバックとして出場することができる信用を得た。しかも、センターバックとして1vs1のミッションを与えられるほどの高いもので、評価を高めてきた冨安の現在地が表れた起用だった。

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