この試合のユナイテッドのプランはこうだ。

 チアゴ・アルカンタラが復帰したリバプールは、モハメド・サラーサディオ・マネにスペースを与えないようにしても中央から崩す術を持っている。だからセンターハーフ2人は中央を固められるマクトミネイとフレッジに任せた。

 攻撃では、ボールを持たされる時間が長いことで絶対に高くなるディフェンスラインの奥をロングボールで一気に狙う。そうすればリバプールの良さを消すこともできるし、ダメならダメで相手ボールになってもリスクはない。だからエリック・バイリーではなくフィードが上手いヴィクトル・リンデロフをハリー・マグワイヤの相棒にした。

 これらは至極単純な理由ではあるが、間違いなく効果的だった。結局、試合は最後までユナイテッドのプラン通りに進んだ。ユルゲン・クロップ監督は、試合の中で問題を解決できずに終わった。

 オーレ・グンナー・スールシャール監督は戦術面で批判を浴びることが多いが、戦術的な技量が無い、と言ってしまうのは今はもう間違いだ。

 ヨハン・クライフをはじめとした現代サッカーについての勉強家でもあり、試合ごとにどういう展開になるかを分析して前もって対応しているし、それが上手くいかない場合は、試合中にしっかり修正してくる。ただし、自分たちの確固たるスタイルがあるわけではなく、相手のプランを前提とした上での必要最低限な対策による受け身で、自分たちの強さを示すためのものではないため、戦術が無い、と言われやすいのだ。勝たなければいけないトーナメントの戦い方ではまだ課題が多いが、リーグ戦では首位という結果がそれで良いと後押ししている。

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