■内田陽介と新井爽太のロングスロー対決

 ところで、今回の大会で目についたのは、ロングスローを武器にするチームが多かったことだ。実際に得点のかなりの部分がロングスローから生まれていた。

 決勝戦でも、青森山田のDF内田陽介と山梨学院のMF新井爽太のロングスロワー同士の投げ合いの場面があり、1点を追う青森山田が57分に決めた同点ゴールも内田のロングスローから生まれた混戦の中で藤原優大が蹴り込んだものだった。

 ロングスローがさらに目立ったのが準決勝で、帝京長岡を破った山梨学院の2点目(後半5分)は新井の右サイドからのロングスローを一瀬大寿がヘディングで決めたものだったし、矢板中央と対戦して5対0と大勝した青森山田の2点目(前半35分)も内田のロングスローを藤原がバックヘッドでゴールに流し込んだもので、どちらもスロワーである新井や内田にアシストが付いた。

 さらに、青森山田の3点目も内田のロングスローから生まれた混戦の中で安斎颯馬が決めたものであり、青森山田では内田のロングスローは大きな武器の一つとなっていた。

 青森山田が帝京大可児(岐阜)を4対3で破った3回戦では、4ゴールのうちなんと3つが内田のロングスローから生まれた得点だった(残りの1点はPK)。

 たとえば、青森山田のような強豪と対戦する相手が、強豪相手に一泡吹かすために守備を固めて「ロングスロー」という飛び道具を使うといったことはこれまでにもあったかもしれないが、青森山田という大会中でも抜きんでた戦力を持つチームまでもがロングスローを武器として戦ったのだ。

 青森山田というチームは、伝統的にFKやCKといったセットプレーがうまいチームだったが、そこにロングスローが加わった形だ。

※第2回に続く

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