第99回全国高校選手権大会は1月11日、11大会ぶりの優勝を目指す山梨学院と、2大会ぶり3度目の日本一を狙う青森山田が、決勝(埼玉スタジアム)で相まみえた。キックだけでなく、スローインもゴール前に放り込まれる、迫力に満ちた壮絶な戦いは、2-2で突入したPK戦を山梨学院が4-2で制し、全国の頂点に立った。
■ GK熊倉匠が勇気を与えた
第99回全国高校サッカー選手権大会の決勝戦は「サッカーというゲームの恐ろしさ」を再認識させるものとなった。
実力的には青森山田がかなり上であることは衆目の一致するところだろう。実際、この決勝戦でもほとんどの時間帯は青森山田がゲームを支配。シュート数でも山梨学院の7本に対して青森山田は3倍以上の24本に達した。
だが、青森山田の守備陣が集中を欠いた一瞬を見逃さなかった山梨学院が少ないチャンスの中から2ゴールを決め、青森山田の猛攻撃をDFの頑張りと、GK熊倉匠の好守でしのぎ切って“得意の”PK戦に持ち込んでタイトルを手にしてしまったのだ(主将も務める熊倉の冷静なプレーぶりは楢崎正剛を思い起こさせるようで、チームに勇気を与えた)。
青森山田としてはサイドを破られ、しかも中央の守備の戻りが送れた1失点目、そして中盤での厳しいファウルの判定で足を止めてしまった2失点目の、たった2度のミスが失点につながってしまったのだ。そんな“一瞬のスキ”を見逃さなかった山梨学院を褒めるしかないだろう。