■Honda FC、ブラウブリッツ秋田の奮闘
こうして準々決勝ではアマチュアの雄Honda FCがJ2優勝の徳島ヴォルティスと対戦した。昨年の天皇杯ではHonda FCは徳島に勝っているのだ。
変化の多い徳島の攻撃に対して、Honda FCはポジションを崩すことなく守り、それでいて勇気をもってボールにチャレンジ。十分に徳島を脅かしはしたものの、前半終了間際にスローインのミスからボールを失って失点。後半、システム変更して反撃に移ったとたんにカウンター気味にサイドを崩されて完敗してしまった。決定力の差だった。
J1リーグで圧倒的な強さで優勝を遂げた川崎に、J3でやはり圧勝したブラウブリッツ秋田が挑む試合も「ジャイキリ」を期待させた。今シーズンの秋田は、なんと無敗のまま優勝を決めてしまったのだ。
しかし、秋田と対戦した川崎は攻撃力を爆発させることよりも相手の反撃を封じ込める意識を強く持って戦った。守備力も強く、J1リーグでも失点数が少ない川崎が守りの意識を高めて待ったのでは、秋田は勝てない。
守備の意識が高かったことの影響で、川崎は攻撃のリズムを上げるスイッチがなかなか入らなかった。それでも、前半の39分にようやく川崎らしいパス回しから三笘が抜け出して先制した。
善戦はできても、格上を倒すことはやはり簡単ではないのだ。しかも、格上である川崎が守備の意識を高めた結果、秋田はこの試合でシュートがたった1本と完全に抑え込まれてしまったのだ。
J2優勝の徳島も、G大阪相手に(とくに前半は)善戦し、決定機も作っていたが、なかなか決められないでいると、53分にやや不運な形からパトリックに決められてしまった。勝負所で決めるべきところをきちんと決めることができるか否か。その違いが明白に出た天皇杯終盤戦での戦いだった。
僕たちライターは気楽に「サッカーは番狂わせが起こりやすいスポーツ」などと書いたりするが、やはり「ジャイアントキリング」は容易ではないようだ。