「川崎初優勝」天皇杯のサッカー批評(2)異例の大会での「ジャイアントキリング」の行方の画像
秋田ブラウブリッツは優勝した川崎フロンターレと準決勝で対戦 撮影/渡辺航滋

記念すべき第100回天皇杯全日本選手権は、2021年1月1日に国立競技場で決勝がおこなわれ、J1王者の川崎フロンターレが同2位のガンバ大阪を1−0で下し、初優勝を飾った。川崎は同一シーズン2冠を達成し、この試合を最後に引退する中村憲剛は、ベンチ入りしたが、出場機会はなかった。サッカージャーナリスト・後藤健生が見たこの大会とは。


■福山シティFC(県リーグ)がベスト8に

 さて、記念すべき第100回の天皇杯全日本選手権。新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、Jリーグ勢は準々決勝以降に登場する異例の形式となった。

 カップ戦の最大の楽しみは「ジャイアントキリング」だ。しかし、Jリーグ勢が出ていないと、この楽しみも味わえない。たとえばJFL同士の試合ばかりになってしまったら、どこが勝っても「ジャイキリ」とは言えなくなってしまう……。

 そんな中、サプライズをもたらしてくれたのが広島県リーグ所属の福山シティFCだった。JFL勢などを倒して、なんと福山は準々決勝にまでたどり着いたのだ。

 トーナメント表の逆の山にはアマチュアの有名チームがそろった。

 アマチュアシードのHonda FC(本田技研)はJFLでは絶対王者だったが、今シーズンはJFLで4位に沈んでいた。しかし、天皇杯では4回戦でJFL初優勝を飾ったヴェルスパ大分を相手にリベンジを果たして5回戦に進出し、そこで関東大学リーグの筑波大学と対戦した。

 今シーズンは、春先から夏場にかけて活動が中止となり、各チームに影響を与えているが、とくに毎年上級生が卒業し、新入生を迎えてチーム作りを進めなければならない学生チームにとっては影響が大きかったようで、関東大学リーグから天皇杯本大会に出場を果たしたのは筑波大学だけだった。

 5回戦の対戦では筑波大学が十分に戦略を練って戦いを挑んで先制にも成功したものの、Honda FCが慌てずに逆転勝利を収めて準々決勝進出を果たした。

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