特にモハメド・サラーがその良さを出せなかった。ディフェンダーを背負ってボールを受けても反転して突破することはできず、クロスの受け手となってもうまく合わず、と浮いてしまっていた。ロベルト・フィルミーノが左右に動いて打開を図っても、マネはフィルミーノが空けた中央のゾーンに入ってきてボールを受けようとするものの、サラーは右サイドから動いてこなかった。中央で細かく崩す場面は生まれず、攻め続けているものの単調になってしまった。
後半になると、多少攻撃の姿勢を見せたWBAだったが、あくまでも1点を目指すものだった。リバプールのクロスに対してはフィールドプレーヤーが8人もペナルティエリア内で守り、虎の子の1点を死守するかのような試合運びを見せた。
引いた相手に追加点を奪えない、という展開は、最後に1発浴びて引き分け、ということによく繋がる。この試合もそうだった。82分、WBAはコーナーキックからセミ・アジャイが決めて1-1。ユルゲン・クロップ監督は、打開する策を見せられないまま試合を終えることになった。
南野拓実がプレーする機会を与えられたとしても、その良さを出すことはできなさそうだった。デコイランで相手ディフェンダーを引っ張り、フィニッシュのためのスペースを空ける動きをするような場面は、こういう相手には訪れない。
引いた相手を中央から崩すプレーをするにはチアゴ・アルカンタラが必要だが、怪我で不在だった。しかし、1人が欠けただけで下位のチームに勝てなくなってしまっては、タイトルを勝ち取ることはできない。