■「飲水タイムも重要な新要素になった」
―この面白さは来年以降も味わいたいですね。
大住「それから、もうひとつは飲水タイムだよね。あれはJリーグだけで、他ではやっていないけど。あれで試合が変わったのを、いくつも見た。飲水タイムをどうやるか。もちろんフィールドの周りに飲める水が置いてあるわけではないから、ベンチに帰ってくるんだけど。前はその時に戦術的な指示はダメとされていたのが、いまは別に構わないってことになっていて。そこで試合がガラリと変わったというのが、いくつかあったんだよね」
後藤「それは大住さん的にはどうですか?」
大住「うーん、悪くないかなと思う。試合が始まってハーフタイムまで替えられないとか、後半の途中からはっきりとしたことができなくなるよりは、試合が変わってすごく面白いなって。昔にジョアン・アベランジェ(元FIFA会長)がクォーター制を提唱して、大ひんしゅくを買った。それはテレビコマーシャルを入れるためだったんだけど。でも、実質的に今のJリーグはクォーター制なんだよね」
後藤「ハハハ、そうそう。」
大住「放送はDAZNだからコマーシャルは入らないんだけど、もし放送してて、前半の22分で主審が笛を吹いたら、すかさず1分間のコマーシャルを入れられる。いまのサッカーの状況を考えて、テレビのコマーシャルを入れられるというのは、救いになるんじゃないかなって。ぼくはそうも思える」
後藤「ぼくがちょっと思うのは、入れるタイミングによって得したチームと、逆に、ここで中断しないでくれよ、ってチームがあるわけじゃないですか。それが嫌なんですよね」
大住「あるある。昨日、浦和と札幌の試合を見ていたんだけど。浦和のゴールキックになって、すぐに始めてパスを繋ごうとした時に、ピっと止めて、飲水タイムにしていたんだよね。ちょっとやらしてあげればよかったのに、って思ったんだけど。けど、そういうのは慣れるんじゃないの? たとえばハーフライン近くの時にしようとかさ」
後藤「ならばいっそのこと、両チームが一回ずつタイムアウト取れるようにするとかは?」
大住「それもありかもしれないよね」
後藤「そっちのほうが、得する損するが自分たちの問題だから。審判がいつ笛を吹くかというのを待っているよりはね」
大住「そうなると、タイムアウトをどこでとるかだね」
後藤「だからボールが出た時に第4審判に言うわけよ、タイムアウトって。フットサルがそうじゃん」
大住「たとえば、かろうじてファウルでとめてさ、相手がフリーキックをやろうとした時に、タイムアウトって止めたりするのは良くないよね。新しいルールがあれば、なんでも活用というか、利用というか、悪用というか、そういうのはね……」
後藤「そりゃそうだよ」
大住「5人交代制だって、最後にリードしているアディショナルタイムに、3人も交代して時間を作ろうなんて考える人もいるわけだからね」
後藤「あのアディショナルタイムも、もうちょっと厳密にやらないとね。アディショナルタイムに入ってから交代する場合はそれだけきちんと時間を延長すべきでしょ」
大住「そうだね」
―飲水タイムは今の形だと、少しズルのような気も。
後藤「真夏の暑い時には必要だと思うけどさ。この寒いのに飲水タイムをやっていた時は、正直、早く試合終わってくれよって思っちゃったけどね」
大住「昨日は寒かったもんね」
後藤「1分でもいいから試合が早く終わってほしい時の飲水タイムは、ちょっとしないでよって思っちゃうよね」
大住「たしかにね。けど、いまは回し飲みができない状態ではあるから」
後藤「暑いときはもちろんマストだと思うけどね」
大住「Jリーグで飲水タイムは取っていたけど、ACLでは取っていなかったでしょ?だから、それでちょっと最後のほうに力が落ちたかなっていう試合もあったよね」
後藤「もう慣れちゃったからね」