なにもかもが未曾有の事態だった2020年。Jでは史上空前の勢いで川崎フロンターレが駆け抜け、ACLに出場した3チームは苦い結末を迎えた。ピッチ上ではさまざまな変化があったが、変わらないこともあった。新たな星が日々生まれ、偉大なディエゴは逝ってしまった。サッカージャーナリストの大住良之、後藤健生の2人が、あらためて激動の1年を振り返る。
―他のチームはどうでしょうか? J2から昇格した大分トリニータと横浜FCは見ていて楽しくて、昇格チームがこれだけ活躍したのは珍しいと思ったのですが?
大住「大分と横浜FCは全然違うというか……。大分はJ2でやっていたサッカーをそのままやって、それでこれだけできることを証明した。順位は11位で、勝ち点を43も取っているから、これは大したもんだと思うよね。ほとんどが代表にかかるような選手ではないけれど、でも鍛え方や戦い方で、これだけできるんだという事を示したと思う。
横浜FCは中断期間があって、それで降格ナシになって、同じようなことをやっていてもしょうがないって事で、サッカーを切り替えた。3バックでやっていたのを4バックにして、しかも若い選手を思い切って使って、その若い選手がノビノビやった。
第33節の対ガンバ戦では、結局0-2で負けるんだけど、内容は圧倒的に横浜FCだった。ただ最後に決める選手がいないから勝ち切れなかったけどね。ボール支配とかパスの回り方とかは、もうガンバが全然太刀打ちできないようなサッカーをやっていたから。今年の降格なしという条件の中で、チャレンジをしたことが、チームの成長につながったと思うね」
後藤「負けた試合でも、本当に内容が良い試合があった。マイケル・オルンガ(柏レイソル)ひとりにやられちゃったりはするけどさ。そういう試合が、横浜FCにはたくさんあるからね」
大住「内容は良くてね」
後藤「それに、横浜FCユースが、プレミアリーグ関東で優勝したんだよね。あっちも今年に昇格したんだけど、本当にすごい攻撃のサッカーでさ。後ろから繋ぐサッカーをやって、非常に良い内容で優勝していた」
大住「そうなんだ」
後藤「だから、そういう若い選手がうまくクラブに組み入れられていけば楽しみだよね」
―クラブって変わるものですね。
後藤「良くも変わるし悪くも変わる」
大住「そうなんだよ。悪くも変わっちゃうからね」