■中国足球が大暴発
別に中国の医学の水準を疑っていたわけではないのですが、ノロウイルスには有効な治療法がないようなのです。そして、下手に下痢止めなどを飲むとウイルスが体外に出にくくなるのでかえって長引いてしまうという説もあります(アメリカ人はウイルスを排出するためにコーラをガブ飲みするという話を聞いたことがありますが、真偽のほどは定かではありません)。
そこで、朝になってから同宿の同業者に頼んで水のボトルを大量に買ってきてもらって、ただただ水を飲んで過ごし、少しでも早くウイルスを体外に出してしまうことにしました。
翌日は女子の試合がありました。この大会では、女子の試合は重慶市内から50キロ以上離れた永川というところで行われました。重慶市永川区というところです。重慶は1997年に四川省から独立した国家直轄市となり、なんと8万平方キロもの面積があるのです。九州の2倍以上です。
永川までは、メディアシャトルで連れて行ってもらえます。
「どうしようかなぁ……」
ずいぶん悩みましたが、まあ何とか頑張って往復してきました。ただし、水以外はまったく飲まず食わずです(この日は女子の日韓戦。荒川恵理子と大野忍の得点で2対0で勝利しました)。そして、その翌日(22日)は試合がないので一日中部屋にこもって水だけを飲んで過ごしました。ノロウイルスによる感染症はだいたい3日くらいで収まってくるはず……。もう少しの辛抱です。
2月23日、男子の日韓戦の日にはなんとか復活。昼には軽く家常菜をいただきました。日韓戦は1対1で引き分けに終わり、勝点も得失点差も並んだものの総得点の多い韓国が優勝。日本は2位に終わりました。その後に行われた中国と北朝鮮の試合は中国が3対1で勝ったのですが、中国はイエローカード6枚、レッドカード2枚をもらいました。
この大会では「中国足球」が大暴発していました。日中戦では安田理大がGKの宋磊から跳び蹴りを食らって大問題になりましたし、中国女子国家隊も、1点リードで迎えた韓国戦の追加タイムに、なんと治療でピッチ外に出ていたDFの李潔が韓国のCKを妨害して警告を受けるなど、延々とあからさまな時間稼ぎを続けました。
さて、最終日は女子の試合で再び永川に向かいました(日本女子は中国にも勝って3戦全勝で優勝)。
実は、永川に着いて高速を下りてすぐのところにレストラン街があって、前から何人かで「行ってみたいねぇ」と言っていたのです。で、メディアシャトルの運転手に言ってバスから降ろしてもらい、まだ不安は残っていたのですが「ノロ全快(半快?)祝い」をやりました。
メインは鯰(ナマズ)料理でした。食べていると、他のお客さんや近所の人たちなど地元民が寄ってきました。「これを食ってみろ」、「これを飲め」といろいろご馳走してくれます。みんな「日本人が来た」というので見物に来たのです。日本人に興味津々、そしてお節介なほどの親切な人々……。中国の地方都市に行くと、いつもこんな感じです。