■アルテタの運

 一方、彼は「悲運の男」でもある。

 黄金期の到来が予感されたスペイン代表では、シャビ・エルナンデス、アンドレス・イニエスタ、シャビ・アロンソ、セスクらが中盤のポジションを独占していた。スペイン代表を率いていたルイス・アラゴネスやビセンテ・デル・ボスケが一時期アルテタの招集を検討していたが、そういったタイミングでアルテタの負傷があり、計画は頓挫した。

 2009年から2010年にかけては、イングランド代表のアルテタ招集の可能性が話題を呼んだ。メディアを中心に周囲が盛り上がりを見せた。フランク・ランパード、スティーブン・ジェラード、アルテタでイングランド代表の中盤を形成するという期待感が煽られた。

 「カペッロがどう考えているかは分からない。でも、チャンスがあるなら、僕は真剣に検討しなければならない」

 当時、アルテタはそう語っている。結局、そのチャンスは訪れなかった。2015-16シーズン終了時に現役を退くまで、アルテタがA代表のピッチに立つことはなかった。

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