【指揮官の肖像】ジネディーヌ・ジダン 天邪鬼と激情の本質に潜むカリスマの画像
ジネディーヌ・ジダン 写真:AFP/アフロ

2021年1月22日、レアル・マドリーは公式サイトでジネディーヌ・ジダン監督が新型コロナウィルスの検査で陽性だったことを明かした。その2日前、コパ・デル・レイの3回戦でレアルは3部のチーム相手に敗戦。ジダンには解任報道まで出ていた。激動の時期を迎えた指揮官の横顔はーー。

 ビッグクラブで監督を務めるのに、必要なのは「器」だ。

 そのビッグクラブの筆頭はレアル・マドリーだろう。マドリーというクラブに、中間はない。白か、黒か。愛か、憎悪か。どちらかなのだ。

 そんなマドリーで、近年、2度監督を任された男がいる。ジネディーヌ・ジダン。フロレンティーノ・ペレス会長が絶大な信頼を寄せる指揮官である。

■ペレス会長の寵愛

 そもそも、第一次ペレス政権において、ジダンはすでに重要な存在だった。

 2001年夏、マドリーは移籍金7800万ユーロ(約93億円)でユヴェントスからジダンを獲得。ペレスは銀河系軍団形成に向けて邁進していた。かくしてジダンの在籍中にチャンピオンズリーグ、リーガエスパニョーラ、インターコンチネンタルカップ(現クラブ・ワールドカップ)、UEFAスーパーカップ、スペイン・スーパーカップ(2回)と数多のタイトルを獲得している。

 2001-02シーズンのチャンピオンズリーグ決勝でのジダンのボレーシュートを知らない者はいないだろう。そして、現役時代に輝かしいキャリアを築いたジダンに期待されていたのはビッグプレーヤーたちを束ねることだった。

 この点において、ジダンの仕事は完璧だった。2015-16シーズン、16-17シーズン、17-18シーズン、クリスティアーノ・ロナウドを中心にしたチーム作りでジダン・マドリーはチャンピオンズリーグ3連覇を達成する。

「ジダンは偉大な選手だった。どうすればレアル・マドリーの選手のモチベーションが上がるかを理解している。スタープレーヤーのマネジメントに関しては、本当に素晴らしい。選手全員の目線に合わせて話をしてくれるんだ」とはトニ・クロースの言葉だ。

  1. 1
  2. 2
  3. 3