そのまま大量失点で終わる予感が漂ったが、エイバルは息を吹き返した。ようやくプレスがかかるようになり、本来やりたかったことがピッチ上で表現できるようになった。
28分にはキケ・ガルシアの素晴らしいゴールで1点を返し、30分が過ぎてからはようやく武藤嘉紀も存在感を発揮し始めた。後半には乾から武藤という決定機も訪れ、最初の15分間から一転して、試合はエイバルのペースで進んでいた。
それでも、CLのグループリーグ最終戦やリーグのアトレチコ・マドリード戦で本来の姿を取り戻しつつあった今のレアルに勝つことはできなかった。
乾は、試合開始直後にシュートを放って以降、15分を過ぎてからの守備ではハイプレスの中心となったが、攻撃ではヒルとポジションチェンジをして左サイドに回った時にしか目立てなかった。武藤へのパスも左サイドにいた時のことだ。
絶好調のメンディとクロースを相手にすることは攻守共にかなりの負担で、次第に足が思うように動かなくなり、プレスをかけられずにロドリゴに決定的なチャンスを与えてしまうと、72分に交代することになった。
この乾の交代がこの試合のエイバルを象徴していた。誰もレアルの左サイドには敵わず、90分を通してハイプレスをかけ続けることは不可能だった。