■ボランチで安定した活躍を見せる

 これがFWだったら、極端な話、シーズンの3分の2が不調でも、残りの3分の1で10点決めれば許されるようなところはある。負傷離脱中で今回のシュトゥットガルトとの試合にはいなかったが、“怪物”アーリング・ブラウト・ハーランドの場合、90分間の内87分間はまるでダメでも、残りの3分間でハットトリックを決めれば、お咎めなしどころか、翌日のメディアは絶賛の嵐だろう。

 ところがボランチの場合、当然と言えば当然だが、そんなムラっ気は許されない。何試合かに1回は派手なスーパーミドルを決めたとしても、90分間あたりのプレーに安定性がなく、何度もボールを奪われるようでは、監督や味方の信頼を得られるはずがない。例え世界ナンバーワンのボランチでも、リオネル・メッシのように歩くことは許されないのだ。

 そういった意味で、遠藤は“安定”している。後半の途中までワンボランチでプレーした16日のウニオン・ベルリン戦では、相棒のオレル・マンガラを欠き、広範囲を1人でカバーしなければならなかったためか、いつもより苦戦した様子だった。集中的に狙われてボールを奪われ、ピンチを招く場面もあった。しかし、マークが張り付いて難しい状況でも味方からボールを預けられ、周囲からの信頼は変わらず、中盤の底からチームを支える様子は変わらない。

 コロナ禍の無観客試合は、選手側にとっては目の前の試合に集中できる利点もあるのだろうか。スタジアムには時にうるさい客もいなければ、試合後に待ち構えるメディアもいない。いずれにせよ、ブンデス1年目で多彩な相手との対戦経験を積み続ける遠藤が、シーズンを通してコンスタントに力を発揮できれば…ボランチとしてさらに成熟するのは間違いないだろう。

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