年末年始「カップ戦の季節」の楽しみ方 (3)天皇杯と皇后杯のゆくえの画像
ノジマステラ神奈川相模原の選手たち 写真:森田直樹/アフロスポーツ

※第2回はこちらから

日本列島の年末年始は“カップ戦の季節”である。リーグ戦をたっぷり楽しんだあとも、存分にサッカー観戦三昧の日々を送ることができるスケジュールになっている。まずは天皇杯を中心に、見どころを解説しよう。

■今シーズンを象徴する秋田対川崎

 一つには、今シーズンの大学勢には昨年の三笘や旗手のようなJ1で即戦力となれるだけのタレントが不在だったこともある。

 そして、大学勢にとっては新型コロナウイルスの影響がきわめて大きかったようだ。

 もちろん、チームとして活動できなかったのは大学勢だけではなく、どのチームも影響を受けているが、大学や高校のチームでは主力だった最上級生が卒業して1年生が加入して、毎年新たにチーム作りを行わなければならないのだ。春から夏にかけて、新チームを作る時期に活動が制限されたことで、大学や高校のチームはチーム作りが大きく遅れてしまったのだ。

 その、関東大学リーグから唯一天皇杯に参加した筑波大学は、4回戦ではJFLの高知ユナイテッドSCと対戦。2度の先行を許すものの、後半のアディショナルタイム90+6分に2対2の同点に追いつき、108分に庄司夢ノ介のゴールで5回戦進出を決めた。 

 Honda対筑波大学のカードは、まさにアマチュア最強を決めるにふさわしい好カードとなった。

 この「アマチュア最強」チームが準々決勝ではJ2優勝チームと対戦する。

 優勝チームがどこになるのかはまだ決まっていないが、今のところ優位に立っているのは徳島ヴォルティス。前述のようにリカルド・ロドリゲス監督の下、非常に完成度の高い、J1でも十分に通用しそうなサッカーをするチームだ。

 J2でいずれのチームが優勝するにしても、最終節まで大接戦を演じてようやく優勝、昇格を決めた直後の試合となるだけに、Jリーグ勢打倒を目指すHondaや筑波大学相手の試合はかなり難しい試合となるはずで、接戦が期待される。

 一方、地方クラブが勝ち残った山では福山シティFCと福井ユナイテッドの勝者がJ3リーグ優勝のブラウブリッツ秋田に挑戦する。秋田は、優勝決定から時間があったので、天皇杯で川崎フロンターレに挑戦する試合に向けて十分に調整して大会に臨めるはず。地方クラブにとっては打倒秋田はかなり難しい作業となるだろう。

 そうなると、こちらの山での楽しみは秋田が川崎に挑戦する準決勝だ。

 J1リーグ、J3リーグで、ともに圧倒的な成績で早々に優勝を決めてしまった、いわば今シーズンを象徴するようなクラブ同士の戦いであり、しっかり守ってカウンターを狙う秋田の戦い方がJ1王者を苦しめても不思議はない。

 変則的な形式での大会となった今年の第100回天皇杯全日本選手権大会だが、福山シティFCが勝ち残ったことによって、県リーグ、地域リーグ、JFL、大学リーグのクラブがそれぞれ「上位のカテゴリーに挑戦する」という形が整った。いつもとは違う形だが、面白い戦いとなりそうである。

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