その中でも特にクロースの存在は別格で、試合を通じてほぼミスなくプレーした。的確な散らしだけでなく、ボールを失わない安定感や相手へのプレスでもチームトップだった。12月に入ってから4試合目のフル出場となったこの試合で、疲れを全く感じさせないプレーぶりを見せていた。

 チャンピオンズリーグで敗退の危機に瀕した際、クロースは「勝っている試合では、明らかに自信があるが・・・」という発言をしている。発言の内容そのものは当たり前のことだが、世界トップレベルの選手・チームであっても、精神的な部分が試合に大きな影響を及ぼすのだ。

 その言葉通り、GL突破を果たしたチームは本来の姿を取り戻しつつあった。そして、先制点が更にそれを加速させた。

 逆に、ここまでリーグ無敗だったアトレチコはそれが嘘であるかのように噛み合わなかった。選手だけでなくシメオネ監督もだった。追う立場として積極的に交代枠を使ったが、後半開始から4バックに変更したことでようやく可能性を感じさせるプレーを見せるようになったジョアン・フェリックスを早々に下げてしまい、フェリックスより遅くまでプレーする時間を与えたルイス・スアレスは何もできず結局交代、と効果的とは言い難かった。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4