リオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドの後釜を探すのは簡単ではない。
だがそれと同じくらい後継者を見つけるのが難しい選手がいる。カリム・ベンゼマだ。
ベンゼマのキャリアハイは公式戦32得点(2011-12シーズン)である。メッシやC・ロナウドが毎シーズンのように40ゴール以上を叩き込んできた事実に顧みれば、それは特筆すべき数字ではない。
ただ、ベンゼマはプレーを「創造」できる選手だ。
ベンゼマのキャリアにおける印象的なプレーを挙げるなら、それは2016-17シーズンに行われたチャンピオンズリーグ準決勝セカンドレグのアトレティコ・マドリー戦のものだろう。ステファン・サビッチ、ホセ・ヒメネス、ディエゴ・ゴディンに囲まれたベンゼマは、彼にしか見えないコースにドリブルで侵入して左サイドを突破した。ベンゼマのパスを受けたトニ・クロースのシュートはGKヤン・オブラクに阻まれたが、こぼれ球をイスコが押し込んで得点が記録された。
あの一連の動きに集約されるように、ベンゼマの役割はゴールのみに留まらない。ボール非保持時にフリーランニングでスペースを作り、ボール保持時に攻撃の起点になる。時に「9番」として、時に「10番」として活躍する。そういった特徴を備えるのがベンゼマだ。