■「イタリア人監督が海外で成功しない理由」
―ザッケローニの時に、サイドバックタイプをウィングバックに置いて、最終ラインも上げ気味にして、コンパクトなサッカーで相手を圧倒する、ということをやろうとしては失敗していた、ような気がします。
大住「3バックやってたっけ?」
後藤「どの監督もみんな何度かやろうとしては、上手くいかなかったよね?」
―選手が言う事を聞かない、みたいなニュアンスでザッケローニは言っていましたね。
後藤「あれは要するに、イタリア人として、こう言えば当然わかると思っていたんだけど、それじゃ全然通じなかったんだよね」
―そういうことだったんですね。
後藤「イタリア人として、そういう概念があって、そう言えばすぐに理解してくれると思ったら、日本人は全然理解できなかった。それはしょうがないんだよ。イタリア人が海外で監督をすると、そういう問題がいつも起こる。イタリアには守備の言葉が色々とあって、その言葉の意味が、他国人には皆わからないんだよ。そうじゃなくて、その概念を外国語でしっかりと説明できるようになったイタリア人の監督は海外でも活躍できる」
―ハハハ。
後藤「これはマジな話。イタリア人監督って、ものすごい戦術家なんだけど、昔は外国じゃ成功しなかったの。最近になってだよ。(アントニオ・)コンテにしても、(クラウディオ・)ラニエリにしても、成功する監督が出てきたのは、ここ十数年だから」
大住「あれだけのサッカー大国にしては少ないよね?」
後藤「そうそう。それはイタリア人同士なら通じる概念が、外国人には通用しないから。それを外国人にも通用するように、説得できるすべをイタリア人側も身に着けたから、活躍できるようになったんじゃないかな」
―日本の3バックのこれからはどうでしょう? 森保監督はJリーグでは3バックでやってきてましたが。
後藤「森保さんが代表監督になったから、3バックをやるんだろうなと思ってたんだけど、全然やらないんだよね。ところが、オリンピックチームのほうは3バックばかりをやって4バックをやらないんだよね。それが不思議なんだよ、どちらか同じにすればいいのに」
大住「10月のカメルーン戦は、後半を3バックにして、試合を変えたじゃない?」
後藤「上手くいったよね」
大住「だから、状況に応じてとか相手に応じてとか、こうしたら上手くいくんだけど、3バックだと上手くいかない、みたいな状況を無くしたいんじゃないのかな。
基本はやっぱり4バック。4-4-2か、4-2-3-1かは分からないけど、それでやって、相手の状況に応じていつでも変えられるように。3バックは上手くいかないと皆が思わないようにしたい。ということだけだと思う。今日は90分やったね」
後藤「後半で4バックに変えるかなと思ったけど、変えなかった。踏ん張ったよ」