■予定を消化できなかった2020年
理由の一つとして考えられるのは、2020年に予定していた代表の試合のほとんどが中止となってしまったため強化スケジュールが大幅に遅れているからということだ。
本来なら、A代表は2020年にはワールドカップ2次予選を戦っていたはずだ。2次予選は対戦相手との実力差が大きすぎるが、それでも定期的に選手を集められるので少しずつ積み上げができていたはずだ。しかも、実力差のある相手なら、あるいは2次予選突破を決めた後の“消化試合”なら、新しい選手を思い切ってテストしたり、戦術的に新しいトライをすることもできていた。
そうした機会がすべて失われてしまったので、10月と11月の4試合で遅れを一気に取り戻したいという気持ちがメンバーの固定化につながったのかもしれない。
しかし、本大会まではまる2年もあるし、最終予選のスタートまでも1年くらいある今の時期にそれほどチーム作りを急ぐ必要はないようにも思える。
森保監督がチーム作りを急ぐもう一つの理由は、2021年に入ってからのスケジュールが見通せないからだろう。
2021年に入ると3月にアジア2次予選が再開されることになっている。そして、日程が順調に進めば、2021年秋に最終予選がスタートする。それなら、2次予選の間にメンバーを絞り込んでチーム作りを進めれば、最終予選までにチームはひとまず完成するはずだ。
しかし、来年の予選が予定通りに開催できるのかどうかは断定できない。
新型コロナウイルスの感染は冬場に再び拡大するとも言われている。2次予選での日本の対戦相手の一つであるモンゴルは徹底した水際対策を実施することによってこれまで感染者を1人も出してこなかったが、先週ついに初めての国内感染者が見つかったという。
こうした状況を考えれば、2次予選が3月から予定通り再開できると考えるのは楽観的すぎるだろう。