強い対戦国と普段から試合を重ねることが、代表を強化するにはもっとも適切な手段であることは、もはや論を待たないだろう。日本代表だけでなく、アジアやアフリカの強豪国の代表メンバーは、その大半がヨーロッパの強豪クラブに所属している。互いに良いコンディションでの親善試合を組むために、ヨーロッパに日本代表の活動拠点を設けてはどうだろう。ヨーロッパの強豪国の代表と真剣に試合をする機会も出てくるのではないか。
■吉田麻也の充実のひと言
日本代表が11か月ぶりに招集され、オランダのユトレヒトでカメルーン、コートジボワールと対戦している(この原稿はコートジボワール戦の前に書いている)。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響によってJリーグ所属の選手の招集が不可能となったため、日本代表は史上初めて選手全員が「海外組」という構成となった。
かつては、海外のクラブで活躍する選手が特定のポジションに限られていた時代もあったが、今ではGKやDFも含めてすべてのポジションを「海外組」だけで構成できるようになったのだ。まさに時代の流れを感じさせる布陣である。
カメルーンとの試合は守備陣の安定感が目立ったものの攻撃陣が不発に終わり、物足りなさを感じる内容だったが、とにかく日本代表が久方ぶりに実戦を戦えたことを喜ばずにはいられない。
試合終了直後のインタビューでも主将の吉田麻也が「試合ができた喜び」について語った。それは、試合を見ている方としても(物足りなさを感じながらも)同じだった。
“喜び”の感情を抱くことができた理由の一つは、対戦相手のカメルーン代表が非常によく統制のとれたチームで、ちょうど日本と互角の力を持つ相手だったこともある。
試合というのは、やはり同等の力を持つチーム同士がいちばん面白い。
もちろん、どちらかのチームのサポーターであるのなら、“格下”をボコボコにするような試合も、あるいは逆に強豪相手に一泡吹かせてやろうというような試合も面白いが、客観的に試合を見るならやはり同格のチーム同士の試合がいちばんだ。
それは、プレーしている選手たちだってそうだろう。吉田主将が「楽しかった」と語ったのは、DFとして強力な相手の攻撃陣と渡り合った(そして、それを封じ込めた)ことの喜びも理由の一つだったのではないだろうか。