9月23日に行われた第21節でJ2は全日程の半分を終了。折り返し後、2節を消化した現時点(10月3日)で、J3から4シーズンぶりに復帰したギラヴァンツ北九州は2位につけている。
新型コロナウイルス感染拡大の影響でJ1昇格プレーオフが無くなり、上位2チームのみが昇格することになった今シーズン。ギラヴァンツには、日本代表経験者はいない。U-23日本代表の候補選手もいない。J1で数多くの試合を積んできた選手もいない。J2の経験者も少数にとどまる。
プロフェッショナルの舞台で特筆すべき実績を残していない選手たちが、圧倒的な走力を基盤に前線から激しいプレスをかけていく。攻撃に重心を置いた戦いぶりは観る者を飽きさせず、最後まで得点を狙う姿勢は勝敗を越えた価値を生み出す。
予算規模がJ2の平均に達しない無印の集団を、J1昇格を狙えるレベルへ押し上げたのは小林伸二監督だ。経験豊富な指揮官は北九州の哲学に共鳴し、自らの情熱と理論を注ぎ込んで選手たちを逞しく成長させてきた。
小林監督は、サッカー批評Webのインタビューで“ギラヴァンツ北九州の今”を語ってくれた。
──北九州の監督を引き受けた経緯からお聞かせください。
「玉井(行人)社長は、私をスポーツダイレクターの候補として考えていたと思いますが、2017年の清水を最後に10年ぶりに現場を離れて、まだちょっと現場をやりたい気持ちがありました。クラブは何人かの候補に当たっていたのでしょうし、監督とスポーツダイレクターの兼任は当初想定していなかったと思いますが、玉井社長の決断で了承していただきました」
──兼任にはメリットと同時に難しさもあると感じます。
「いろいろなものを社長に伝えやすいのはメリットでしょうね」
──玉井行人社長も、小林監督は意思の疎通がスムーズに図られているとお話をしています。
「そうですね。社長は“私は社長だから”と経営に集中し、サッカーを知らなくてもいいと思うのですが、一生懸命勉強しているのが僕自身は嬉しくて(笑)。就任するときは、“私が社長にサッカーの楽しさを教えます”とお話したこともありましたね」