■復旧かなってリーダーが思うこと
美しい緑が戻ったレッズランドを見ながら、松本さんはここまでくるのに助けてもらった無数の人びとを思った。2億円の「基金積み増し」を後押しし、復旧作業を可能にした三菱重工業だけでなく、義援金を集めてくれた後援会や宇賀神選手。Jリーグからも「アカデミー施設の復旧支援」として792万円が拠出された。浦和レッズだけでなく、Jリーグでは他に5クラブの施設がこの台風19号で被災したが、施設を自前でもっていたのは浦和レッズだけだった。あとは主要出資企業や自治体が所有する施設だったので、それぞれの所有主が復旧費用を負担した。
島忠やポラスだけでなく、たくさんの浦和レッズパートナー企業から寄付や見舞金を受け取った。そして12月のボランティア募集に応じて寒い時期に作業をしてくれた人びと、「押しかけボランティア」のサポーターたち。そして何よりも、現場で工事や作業に当たってくれた人びと。
最初にあったのは、「絶対になくしてはならない」という決意だけだった。それがきっかけになったのは間違いない。しかしこれだけたくさんの人の物心両面での支援があったからこそ、無事復旧ができたのだと思った。昨年の10月13日に「俺の仕事だ」と意気込んだことを松本さんは後悔しない。しかし少し力が入りすぎていたかなとも思う。ひとりで突っ走らず、みんなでこの仕事に当たってきたことに、松本さんは満足感を覚えた。