■2005年にレッズランドが誕生

 レッズランドは、浦和レッズがさいたま市東部(桜区)、荒川に面する下大久保という土地に広がる広大なスポーツ施設である。敷地面積14万8500平方メートルは、メディアでは「東京ドーム3個分」と表現されるのが通例だが、私としては、東京ドーム(周辺通路などを含めて4万6755平方メートル)を使うより、1割ほど面積が広いが、埼玉スタジアム(建築物の面積が5万2633平方メートル)を使い、「埼玉スタジアム3個分」と書くことにする。とにかく広大なのである。

 ここには、1980年代から東京農業大学のグラウンドがあった。数十人の地主から土地を借用して天然芝のサッカー場3面、テニスコート、野球場などが広がる施設だったが、東京・世田谷の大学キャンパスからも遠く、2005年に土地の賃借契約が切れることにともなって撤退を決めていた。浦和レッズはそのしばらく前からサテライト、下部組織(ユース、ジュニアユース)などの練習場として、年間契約で東京農大から天然芝のサッカー場2面を借りていたが、「東京農大が手放す」という話を聞き、全敷地を借り上げ、「レッズランド」としてスタートすることを当時の犬飼基昭代表が決断した。

 東京農大は借地契約を終了するにあたって「現状復帰」しなければならない費用がなくなり、地主たちは土地の貸借料が引き続きはいってくる。そして浦和レッズも夢に見ていた地域の人びとのためのスポーツ施設を、それまでのサッカー場2面とそう変わりのない賃借料で開設できる――。まさに三方がそろってハッピーになる決断だった。

※第2回につづく

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