この一連のプレーで、久保はいくつかの才能と成長を見せた。1つは、テクニックが今年も健在で、ボールを持てば相手に脅威を与えること。そしてもう一つは、相手ディフェンダーに寄せられながらも突破できる体の使い方を覚えたこと。ケヴィン・ロドリゲスはポルトガル代表として3試合に出場した26歳だ。その選手の寄せにもかかわらず、縦に突破する様はさながら重戦車のようで、かつて、Jに所属していた時に見せたプレーとは二回りも三回りも違う。

 惜しむらくは、クロスに味方選手が合わせられなかったこと。だが、久保のプレー時間が増えていくにつれて、そうした問題も解決されるはずだ。久保がわずかな隙間でもパスを通すことができる戦術眼とテクニックを持っていることを周囲が理解し、久保自身もチームメイトが90分間という状況でどの程度動けて、どこまで速度を出せるのか理解するだろう。

 わずか6分、いや、十分な6分。どんな状況でも打開できるその力は、人を魅了せずにはいられない。

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