■地元記者からは「おい、クボ!」
リーガ開幕戦のウエスカ戦の後半32分、久保建英は1−1の状況でパコ・アルカセルに代わって前線に投入された。守備時は2トップの右、マイボール時は4−4−1−1のセカンドトップとなるこの起用法はプレシーズンでも何度か試されており、久保は監督の指示について「特にライン間のスペースをしっかり使っていけと言われている」と話している。
トップの斜め後方に位置どり、相手のDFラインとMFラインの間のスペース、スペインで言う「エントレリネア」でパスを引き出し、前を向いて仕掛ける。そうやって守備組織を揺さぶるプレーは、久保が最も得意とするところである。
しかし、そこは相手が最も警戒するエリアでもある。与えられるスペースは僅かで、マークを背負った状況でパスを受けることがほとんどだ。その状況から前を向くことができればチャンスは広がるが、ボールを失えば攻撃が途切れるだけでなく、チームがカウンターの危機にさらされる。
実際、ウエスカ戦の終了間際には久保のボールロストが危険なカウンターを招いている。目の肥えたスペイン人はそのような軽いプレーには至極厳しい。隣席の地元記者は思わず「おい、クボ!」と声を上げていた。
久保に求められるのはそのような厳しい条件でも積極的にパスを引き出し、確実にボールをキープするだけでなく、そこから相手の守備組織を揺さぶるプレーを実行することにある。