この一戦で際立ったのは、昇格組のウエスカの完成度だった。チームとしての戦略が明確で、得たチャンスはシュートで終わる形になっていた。

 そして、岡崎へのチームからの圧倒的な信頼感は、「大黒柱」と呼ぶにふさわしいものだった。54分のダイビングヘッドに代表されるように、チャンスボールに対しては体を投げ出しても触る、という姿勢。そして、前線からすぐに守備に戻るという切り替え。

 90分ずっと献身をつづけて、ミチェル監督が「引き分けでいい」という判断を下してからも、岡崎を代えずに残したことからも、攻守両面での岡崎の貢献度の高さがうかがえる。

 一方の久保は、74分からの出場という形になり、局面を変える「J O K E R」としての役割が期待されていた。2列目の右も左もトップ下もできる、というその才能は、チームにとっても大きな武器になるはずだ。

 新加入で中盤の中心的存在となるはずだったコクランが、75分に左膝を傷め、担架で運び出される事態となり、ますます久保の存在が大きくなることは間違いない。

 1−1という結果となった開幕戦だが、96分間プレーした34歳の岡崎と19分プレーした19歳の久保。今季のラ・リーガで楽しませてくれる2人であることは間違いないだろう。

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