■甲府の山本がJ通算500試合出場
長崎を首位から引きずり下ろした甲府は、北九州を3対0で下した前節に続いて上位から勝点3を奪った。これで3連勝となり、勝点31で4位に順位をあげている。4位以下のグループから、半歩抜け出した感じだ。
得点源のドゥドゥとジュニオールバホスをケガで欠くなかで、伊藤彰監督はターンオーバーをしながら勝点を積み重ねてきた。長崎戦後に好調の理由を聞かれた47歳の指揮官は、「前線からの守備が良くなってきて、ボールをある程度握れるようになった。もうひとつは、セットプレーで取れている」と、三つの要因をあげている。
この試合では40歳の山本英臣がマン・オブ・ザ・マッチと言っていい活躍を見せた。3バックの中央で激しいフォアチェックを仕掛けてイバルボの自由を奪いつつ、マイボールの局面では中盤にポジションをあげて効果的にパスを配球した。62分に生まれた2点目も、起点となったのは山本のタテパスだった。3バック中央の選手が攻撃時に中盤へポジションを上げるのは、甲府の攻撃のメカニズムである。
山本はこの試合がJリーグ通算500試合出場の節目だった。J1で223試合、J2で277試合の出場を重ねてきた。甲府が経験してきた3度のJ1昇格とJ2降格をすべて知る山本は、偉大な記録を打ち立てたのである。
試合後のホームスタジアムは祝福ムードに包まれたが、「J1昇格だけを考えてチーム全員で頑張ります」と、自身の記録には触れなかった。プロ20シーズン目のベテランの存在は、間違いなく甲府の支えとなっている。