守備における安心感も大きい。1試合平均のタックル数4.2でリーグ1位の三竿には及ばないが、永戸のそれは2.2。ただし、成功率は72.4%と、三竿、レオ・シルバ、犬飼、広瀬よりも高く、鹿島の主力守備陣では犬飼に次ぐ数字だ。フィジカル的にも問題がなく、サイドで相手に寄せる早さや強さは、守備の安定に貢献している。
そして、この攻撃面と守備面に加え、永戸の最大の特徴が「ポジショナルプレー」に慣れていることだ。今年からザーゴ監督が鹿島に導入しているポジショナルプレーは非常に複雑だ。一度浸透すれば、ボールがチームの中を滑らかに動くが、浸透するまでは信じられないミスも起きやすい。鹿島が開幕4連敗を喫したのも、“通過儀礼”と言えなくもない。
永戸は、そのポジショナルプレーをすでに実践していた。そう、恩師・渡邉晋がベガルタ仙台で導入していたからだ。2017年のルヴァンカップ準々決勝で、仙台は鹿島を破った。あのときの仙台はポジショナルプレーに挑戦し、うまくハマっていた時期だった。
準々決勝の前に怪我をしたため出場できなかったが、それまで永戸は大卒ルーキーながら仙台で先発の座を勝ち取っていた。鹿島と永戸とポジショナルプレーのリンクは、2017年から始まっていたのである。