■『Bepro11』をどう使うか

 Bepro11は、サッカー専用の分析プラットフォームで、AI技術を駆使して選手とボールの動きを識別し、フォーメンションの変化や試合状況を分析し、チーム全体および選手一人ひとりにカスタマイズされたデータレポートを提供する。撮影から編集と、従来の労働集約型によって分析されていた常識を覆す画期的なシステムだ。

 スタジアムに取り付けられた3つのカメラが一体型となった固定カメラによりピッチ全体の映像が高解像度で撮影され、それぞれの映像が3Dスティッチング技術により自動で180°パノラマ映像として統合される。同社のソフトウェアはAI映像認識技術により、ピッチ上にいる全選手およびボールを検出し、自動で適度な大きさにズームされる。人間の手によって撮影されれば、誰もが起こし得る一瞬の油断によってボールに映像が追いつかなかったといった人的ミスは完全に無くなる。

 1台の広角カメラでピッチ全体を撮影されるのではなく、元々は3方向別々に撮影された映像が自動統合され180°パノラマ映像をつくるため、ボールがアタッキングサードにある時に映像をスワイプして、ボールが絡んでいない自陣のGKやDFのポジショニングやラインの形を確認することができる。高解像度の映像は、ズームイン・アウトをして事象(イベント)を細かく見返すことも可能である。いつ、どのタイミングで、ボールがどこにあってもピッチの端から端まで見渡すことができ、選手はオフザボールのシーンであっても90分間常に撮影されている。これはテレビ中継での映像や、従来のスカウンティングカメラで撮影された映像では不可能なことである。現代サッカーはトランジションのスピードが上がり流動化している。攻撃時と守備時ではフォーメーションも変わるため、オフザボールでの選手のポジショニングやチーム全体のバランスを確認できるこの技術は、レアル・ソシエダにとっても重要視されている。

※第2回へ続く

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