■前半は北九州をシュート「0」に抑え込む
キックオフ直後から、ホームの栃木がパワーを全開にする。フルスロットルでプレスをしかけていく。
スイッチを入れるのは2トップだ。「走る栃木」を象徴する存在の明本考浩と36歳のベテラン矢野貴章が、連動して規制をかけていく。2列目の森俊貴と大島康樹の動きも連なり、自陣からビルドアップしたい北九州のパスコースを消していった。
前線の選手たちが足を止めずに2度追い、3度追いとしていき、ついには彼ら自身が、ダブルボランチが、サイドバックが、センターバックがボールを取りきってみせる。前線からの追い込みに最終ラインまでが息を合わせ、マイボールにできる瞬間を狙っているのだ。自分たちで奪い取る前に、圧力に屈した相手がミスをすることもあった。
試合の流れによっては、ひとまずセットして自陣に構えることもある。ここでもブロックに入り込んでくる相手を、待つだけではないのだ。全然から果敢にアタックにいく。
24分前後の飲水タイム時のボール支配率は、42パーセントだった。だが、ボールを握られているわけではない。
2トップを起点とする連動したプレスは、その必然として選手同士の距離感を近くする。奪った瞬間に複数の選択肢を持てる。攻撃へのスムーズな切り替えが可能だ。そこでボールを失ったとしても、またすぐに圧力をかけることができる。
甲府戦から中2日で、矢野を除く10人は前節に続いての出場である。それでも、体力を出し惜しみするところはまったくない。同じくハイプレスを持ち味とする北九州を、鮮やかなまでに圧倒していった。
30分の先制点は必然である。今節のベストゴールと言ってもいい一撃を、ボランチの西谷優希がペナルティエリア外から蹴り込んだ。
前半を終えた両チームのシュート数は、栃木が2本で北九州はゼロだった。リーグ最多得点の相手攻撃陣を、栃木はほぼパーフェクトに抑え込んだ。