南野拓実がリバプールにもたらす新戦術(2)「初ゴールを生んだPAへの侵入」の画像
同点弾を決める南野拓実 写真:代表撮影/ロイター/アフロ
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 8月30日に行われた、リバプール対アーセナルのチャリティー・シールド。0ー1とリードされたリバプールは、当初の4−3ー3から、59分に南野拓実とナビ・ケイタを投入。この投入で、ユルゲン・クロップは布陣を変更した。サラーを最前線に置いた4-2-3-1にし、2列目に左から、南野、フィルミーノ、マネの3人を配置。フィルミーノ、サラー、マネという自慢の攻撃3枚看板を変形させたのだ。

 後半に入ってから、アーセナルの守備陣形も前半のような緻密さや積極性がなくなっていた時間であり、3バック+2ウイングバックで構成される相手の5バックに圧力をかけることにしたのだろう。それでも均衡状態が続いていたが、67分にフィルミーノからの横パスをバイタルエリアで受けた南野が思い切ってシュート。この日、リバプールの2本目の枠内シュートを放つも、GKに阻まれる。さらに69分には、南野が相手右サイドバックの裏に走り込み、良い位置でファールをもらってフリーキックのチャンスを作り、リバプールの攻撃をリードした。

 そして72分、南野のセンスが爆発した。マネの縦パスを受けたサラーがペナルティラインに沿って右から左に横ドリブル。そしてフィルミーノに一度当てると、フィルミーノは南野にワンタッチパス。南野は、そのボールをダイレクトでフィルミーノに返すと、それが相手に当たりながらも南野に戻ってきた。南野はそのボールを右足で冷静にシュート。リバプールで初めて、公式戦のゴールネットを揺らしたのだ。前半の戦い方とは一転して、細かいパスをペナルティエリア内外でつなぐことによって生まれた得点だった。

 75分にも南野はナビ・ケイタやフィルミーノとペナルティエリアの左から細かいパスをつないで侵入しようとしている。76分には、マネからのスルーパスを受けて南野がペナルティエリアに右から侵入。ここは相手の対応もあってチャンスにつなげられなかったが、南野が入り、システムを4-2-3-1にしたことによって、新たな攻め方が見られるようになった。サラーやマネのスピードを生かせない場面で、南野が持つ狭いスペースでのボールタッチや侵入技術によって、打開しようという攻め方だ。

 その後、1-1のまま90分間が経過。決着はPK戦となったが、南野は4人目のキッカーを務めてど真ん中に蹴り込んだが、結果は4-5でリバプールが敗戦。昨年に続いてのコミュニティシールド制覇とはならなかった。

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