もともと内田は攻撃センスが高く、元日本代表監督の岡田武史に“前向きのトラップ”を誉められたことは有名な話だ。そんな彼が、欧州でさらにレベルを上げていた。たとえば、センターバックや一列前の選手に直線的にパスを出すだけでなく、斜めに長いパスを出せる選手へと変貌していたのだ。

「要するに、ファルファンを使いたいんですよね。だから、彼にただ縦パスを入れるんじゃなくて、1回トップのフンテラールに当てると、ファルファンが前を向けますからね。それと、彼を見てると、試合の中で何回か裏に抜けるシーンがあるんですよ。そこはもう、さすがにずっと一緒にやってきただけあって自信はあります。

 どこでほしいかっていうのも分かるし、疲れてるなって思ったら使わないようにしてるし。身体は強いんですけど、彼はそんなにたくさん動ける選手じゃないので。だから、彼には守備に戻ってこいって言ったことないですから。前に張って、好きにやっていいよって」

 斜めに出すというだけでなく、それがもたらす意味を考えてパスを出していた。フンテラールはボールの収まりがよく、ファルファンが前を向いてプレーすることで相手にとってイヤな局面を作ることができる。

 そして、内田が言うように、このファルファンとの相性は抜群だった。相手守備陣がいる中で難しい局面ながら、ファルファンとの連携から得点が入ったときについて振り返ると、改めて「まあ、彼とは4年一緒にやってますからね」と言うのだ。

 ジェフェルソン・ファルファン。この8月でロシア1部のFCロコモティフ・モスクワを退団することになったペルー代表FWは、シャルケに2008年~2015年まで所属していた。ペルー代表として83試合に出場し、25得点。2020年現在35歳のこのアタッカーは、内田の名相棒だった。

 

2回目に続く

 

PHOTO GALLERY 内田篤人のプロ経歴とシャルケ時代のプレー写真
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